見どころ
独自評価 ★★★★☆(4.2)
平成元年生まれの男女が13歳で出会い、 家庭の事情で引き離され、 大人になって何度か再会する機会に恵まれるも、 お互いの人間関係は変化していて今も尚想い続けているけど、 結ばれない。2人とも色んな試練を乗り越え歳を重ね、 年号が令和に変わるとき、2人がまた再会のチャンスを迎える。 すれ違いばかりの2人の糸は最後に繋がるのか。。
登場人物それぞれの人生、それぞれが出会ったり別れたり、 巡り合いの話。ラブストーリーではあるけどそれだけではない。 幅広い年代で楽しめる内容。
見た後はきっと出会いについて色々考えると思う。 平成元年生まれに近い人、今忙しい日々を送っているだろうから、 この映画を見て自分と重ねて自分の人生を振り返り、 仕合わせと言う言葉を実感する良い機会になると思う。
感想
私はいつも映画館に行く時は人が少ない曜日時間帯を狙っていくの だけど、この映画はそんな日時でもお客さんが多かった。注目されている映画だなと思った。
13歳の葵がどこか寂しげというか儚げというか、 その理由はやっぱり…
母親の彼氏が子供を虐待する、 そして母親は守ってくれないっていうよく現実のニュースでもある この事実。この糸でも葵はDVされてる。映画だ、物語だ、 と分かっていても見ながら悔しくてしょうがない!こういう環境に置かれている子供を助けることをまず社会が考えて いかないといけないテーマ!
葵をこの状態から救ってあげたいと思い行動に出る漣。 まだ13歳。まだまだ幼いのにたくましい。 私も一緒に協力して助けてあげたかった!この子の気持ち、 大切にしてやりたかったなぁ。
それから大人になって友人竹原の結婚式で葵と漣が再会するけど、 そこでの呼び方が葵じゃなく、園田。距離感。。最後、 フェリー乗り場で再会する時、やっと葵ちゃんと呼ぶ。あそこで漣と葵の糸が繋がった瞬間かなーと思った。
この映画の中に出てくる人の中で、私はのちに漣と結婚する香が、 ほんとに素敵な人だと思った。 葵を心のどこかでずっと想いつづける漣も、 香だからこそ結婚して家庭を持って、 人生を先に進めることが出来たのだと思う。香がカラオケで「ファイト」を歌うシーンがあったけど、 力強くて、気持ちがこもっていて、いいシーンだった。
後半に今度は竹原が「ファイト」を歌うシーンがあって、 漣が一緒に歌って。。あ!この2人はグリーンボーイズだ! とそこはちょっと懐かしくてうれしかった。
そして葵と付き合っていた水島の寄り添い方がさりげない。 人生の先輩、お金を援助してくれる、スポンサーみたいな存在。 シンガポールで共同経営者の玲子がやらかした損失の支払いに当て たお金が結局は水島が置いて行ったお金だったり、 側にいなくなっても最終的にお金という愛の形で葵の人生を支えて くれた人なんだと思う。この出会いも運命の糸だった。
ガンで亡くなる香の激痩せ具合が痛々しかった。 榮倉奈々はかなり役作りで痩せたんだと思う。 迫真の演技で私の涙腺が崩壊した。蓮が香と娘が買い物している姿を見て泣くシーンでも同じく私も涙 …悲しかった。
香が病院で言ったセリフ、「運命の糸って私はあると思う。 でもその糸はたまにほつれる。そして切れることもある。 でもそれはまた何かに繋がる。」この映画はまさにこの言葉をストーリーにしてる。 凝縮された言葉だと思う。
漣と香もちゃんと運命の糸で繋がってたし、葵と水島も、 運命の糸で繋がっていた。
ただ漣と葵の糸が太くて、 香も水島もなんとなくその太い糸が見えていたんだろうと思った。 だから香もなくなる前に運命の糸の話をしたんだろうし、 水島も母親探しに故郷に行った葵が戻ってきたところで姿を消した んだろう。
私がとても印象に残ったシーンは、 シンガポールで葵が不味いと泣きながら大丈夫大丈夫と言いながら カツ丼を食べるシーンと、 お世話になった子供食堂のおばちゃんに会いに行き、 久々に再会して昔のおばちゃんの味を味わいながら、「 帰ってくる場所なんてないのに…」と泣きながら食べるシーン。同じ泣きながら食べるシーンでも意味合いが全然違っていて、 カツ丼は不安でいっぱいの涙、おばちゃんのご飯は安心の涙。 この涙の違いをうまく演じ分けていた小松菜奈、さすがだな〜 と思った。見る側にしっかりと伝わる。
巡り巡って、 香のキレイな心を受け継いだ結ちゃんの存在がこの絡まったり切れ たりしていた漣と葵のくっきりはっきりした太い糸を繋げたんだな 。
香の両親も良い!香も良い!そしてその娘の結も良い! 愛情もって育てたら、その子供のまたその子供も、 愛情はずっと繋がっていく。 その愛を持った人たちが寂しい人を救っていける。そう思う。
仕合わせっていう言葉をこの映画を見て、 自分の人生の仕合わせを振り返ってみた。
日常の日々や環境が、 色々な仕合わせによって生まれていることを感じることができた。
良いものを繋いでいけるようにしないといけないなと思った。
エンディングが、中島みゆきの糸じゃなく、 菅田将暉が歌う糸だった。
主役が最後に歌うなんてと言う人もいるかと思うけど、 私はあれはあれで令和感がでていて良かったと思う。
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