周平くんという1人の男の子の人生を見た感じ。
5年生〜17歳までが描かれているのだけど、 この男の子の生活をこんな風にしか生きられないようにしている母 親に対して鑑賞中怒りがわいてくる。
R12で家族で楽しめるという内容ではないし、 怒りや悲しみの感情でざわざわとなるけど、 実話をベースに作られたというこの映画、 見た後にこころに刺さるものがあり、 作品としてとても良かったと思う。
感想
なぜ、 妹は普通に大人なっているのにこの秋子はこうなってしまったんだ ろう。 両親が良くできる妹と比べていて私をずっと馬鹿にしてきた、 それが原因なんだと秋子は言っていたけど、 ならばなおさら自分の子供は愛情深く育ててよ。 少なくともあなたのお母さんは食べるものに困らせたり放置して1 週間も男のところ行ったりしてないでしょうよ。
内縁の夫のリョウに秋子と周平が殴られるシーンがあったり、 周平が秋子にビンタされるシーンがあったり、 映画と分かっていてももう暴力はやめてよって胸が痛くなる。
5年生でATMで振り込みできるってこの子どんだけ賢いんだろう 。走って逃げる時なんかも大人の走る速度に必死についていって、 賢さと足の速さをこんな普通じゃない環境で習得してしまえている のがかわいそう。
この暮らしの中でも、関わる大人の男性が現れて、 勉強用のドリルを買ってくれたり、 仕事させてくれて食事もさせてくれて、 周平のために本気で秋子に説教してくれたり助けになりそうな人キ ター!と思っても結局は、あんたもかい、あんたもかい、 という具合に秋子の醸し出す色気にあっという間に男女の仲に。
そんな中、 同じ境遇で育ち施設で育ったという児童相談所の亜矢さんとの出会 いは、周平を救えるチャンスだったと思った。
亜矢さんに会ってから周平は少し自分の世界ができたように見えた 。自分の気持ちを母親に言えるようになったし。 ついて行かないとも言えた。 このまま周平だけでも施設に引き取れていたら、 悲劇の犯罪はおきなかったのではなかろうか。。。 そのチャンスを潰した秋子、ほんと怒りしかない。
秋子って、喜怒哀楽自分を全部、 周平に見せてるのが印象的だった。
普通親って子供にこんな姿は見せられないとか思う部分もあるのだ けど、ぜーんぶさらけ出してる。 だから息子も母親を放っておけない状態になってしまう。 共依存という言葉が出てくるけどまさにに共依存。 母親も息子と離れられないし息子も母親とやっぱり離れられない。 秋子なりの子供への愛なのか…歪んでるし、 子供そのものの人格とか尊重してないし、 こんな子育ては私は認めない。
そして終盤、ついに祖父母を殺害。 普通なら過去色々あったけど優しく迎えいれてくれたら、 やっぱり出来ないって考え直すと思う。
それでも周平はやはり母親に言われた通り犯行を実行してしまった 。思いとどまってほしかったな。
逮捕されても、母親からの指示はなかったと証言。 母親が逮捕されないように。
共依存でもあり洗脳状態にもあったと思う。
虐待とか放置とか、ニュースでもよくあるけど、 悲しいのはどんな毒親でも子供は母親のことが好きだっていうこと 。
周平も最後に、お母さん好きなんですよって言う。 悲しくて涙が出た。
世界が広がれば、考え方も変わるのだろうけど、 毒親によって世界を広げられる機会を与えられない。施設に引き取られた妹の冬華ちゃんには、 新しい世界で幸せを見つけて欲しい。
配役がとても良かった。
秋子役の長澤まさみはイメージとは全く異なる役柄だったけど、 違和感は全然なかった。
魔性のダメ女を演じきっていた。
阿部サダヲはこういう役させたら右に出るものいないんじゃいかな 。上手すぎるから見てる側も入り込める。
周平の幼少期役の男の子も目がキレイで可愛くて、 こんな可愛い子にこんな生活させて! って怒りでイライラさせるほどかわいそうな男の子をうまく演じて いた。
16〜17歳の周平役の奥平大廉くん、 葛藤や悲しみの難しい感情を目でうまく表現していた。
オーディションで選ばれて映画初でこんな表現ができるなんて、 才能があると思う。
この作品で、すべてを狂わせた母親は、怪物? それとも聖母だったか…と問いの文があるけど、怪物! 聖母な訳がない!
秋子の気持ち1ミリも分からない!
実話ベースなので余計に腹が立つ!
こういった環境下にいる子供に世間はちゃんと目を配っておくべき だし、救えるものは救っていくべきだと思った。
テーマは重いし、見ていて辛い部分もあるけど、 考えさせられることは多い。見て良かった
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