独自評価 ★★★★☆(4.0)
父親と音信不通になって2年、長谷川家の次男、大学生の薫( 北村匠海) の元に年末自宅に帰りますという内容が書かれた父からの手紙が届 く。薫が久しぶりに実家に帰るところから物語が始まる。
長谷川家と12年前に迎え入れた愛犬さくらの幸せな家族の物語… と思っていたけど、けっこう辛い話。
父も母も家族思いで兄弟妹も仲がよく、 それをいつも側にいて見届けているさくら。
しかし、家族のヒーロー的存在の長男はじめ(吉沢亮) の死をきっかけに家族げバラバラになってしまう。
この映画で印象に残るのは末っ子の妹、美貴役の小松菜奈の演技。 前半は妹っぽい!妹あるある!と思うところが多いけど、 途中からがちょっと怖い。
他の長谷川家も配役は安心安定な演技力。
ペットを飼っている人は、 家族によりそう動物の存在感について心にグッとくるものがあると 思う。
一件家族向けの映画かな、と思うけど、 細かくちょっと子供向けではない部分もあるかな。 中高生くらいからはもう良かろう。分かろう。
お兄ちゃんのことがとっても辛い映画です。
感想
この映画は仔犬であったさくらが12歳になっているところまで描 かれている。ということは12年間の長谷川家の物語。まさか、 さくらが家に来たとき、 12年後に長谷川家にこんな出来事が起きていたなんで想像もでき ないくらい、幸せな温かい5人家族。
3人兄弟妹の小中高の成長過程をかけ足で見た感じ。
長男のはじめは、才能もあるし、心もキレイ。 家族としても自慢のお兄ちゃん。 そんなお兄ちゃんが初めて彼女を連れてきた時は、 私も長谷川家の母と妹同様のリアクション。なんでこの子? と思った。でも、 家族関係が複雑で心を開くのに時間のかかる子で、 慣れてくると純粋ないい子。 やっぱりお兄ちゃんが選んだ人だなと納得した。
子供の頃からずっと妹にも弟にも、とってもやさしく、 こんな優しいお兄ちゃんって、いる?いないよー、なかなか。 だから余計に、事故にあってしまってみんな辛かったと思う。 見てる側もめちゃくちゃ辛かった。
はじめが言っていたように、あんな悪送球…厳しすぎる。 あの状態は苦しかっただろう…ほんとに。 原作とか読んでないけど、 お兄ちゃんが亡くなるという予備知識はあったから、 はじめがフェラーリの気持ちが分かったって言った時、嫌〜 な予感がした。
ちょっとふっきれたような表情でさくらの散歩に出かける。 次のシーンでは高台でさくらの鎖持ってる…
あー待って!ちょっとやめて!ダメダメ!お兄ちゃんちょっと、 待ってよ!!と私も心の中で叫んだ。あー、もう、、悲しすぎる…
次男の薫は真ん中の子って感じがかなり出てる。 ちょっと一歩離れた感じで物事を見ている。 冷静でバランスを見る感じ。 でも妹を殴ったシーンとお葬式で妹をキレイな子と言った人に向け た怒りの目、 この二つの場面ではこれまでとは違い心の感情が現れた表情をして いた。ランドセルのシーンは、さすがに穏やかな薫もそりゃ、 ああなる。
なんといっても末っ子の妹、美貴(小松菜奈)はクセが強すぎる。
お父さんに女から(実際女じゃなかったけど) 来た手紙をニヤニヤして読み上げてお母さんを挑発するシーンや、 はじめの彼女が家に来たら露骨に機嫌悪くなったり、 まぁこのあたりは妹のよくある感じで、 自由奔放な可愛い妹だったけど。だんだんちょっとあれ?これは、 なんか違うぞ?となってくる。
はじめが大事故にあって顔がなかり損傷して、 下半身も動かないってなっても、美貴だけは、うれしそう。 あれはこれでお兄ちゃんに近づいてくる女はいなくなるっていう喜 びなんだろう。はじめの彼女の矢嶋さん(水谷果穂) からの手紙をまさか美貴が止めていたとは。 ちょっとそんな気もうっすらしたけど、 ランドセルから大量の手紙が出てきた時はもうホラーだった。 もう、なんてことを!!
お兄ちゃんは矢嶋さんから連絡が来なくて悲しんだまま亡くなって しまったじゃないか!
美貴は最後の車の中のシーンで、 好きな人ができたら必ず好きと伝える、とか言っていたけど、 大丈夫かな? 美貴は好きになるの好きの具合と表現が行き過ぎているから恋愛で きるかな、うまくいくかな?相手はしんどかろう。
小松菜奈の演技のふり幅がすごい。怪演だった。
父親(永瀬正敏) が音信不通で2年ぶりに帰宅するのをきっかけに、 長谷川家が再会するのだけど、なんでお母さん(寺島しのぶ) はそんなにお父さんを優しく迎え入れられるんだろうか。。 と不思議だったんだけど、あんな辛いことがあったのなら、 お父さんの気持ちも分からんでもない。 美貴が矢嶋さんからの手紙を止めていたことはショックすぎたんだ と思う。 ランドセル処分しといたよってセリフでお父さんの気持ちが理解で きた。
この家族の中心ともいえるお母さん、すごい大っきい人だと思う。 ずっとお父さんのこと一途に想っているし、 色んなことを受け止める。子供たちへ、 性について話すシーンでは、魔法という言葉を使って、 適度にごまかし適度にごまかさず、絶妙な説明だった。 お兄ちゃんの事故の後も、 明るく一生懸命母として頑張っていたし、アブノーマルな娘
を優しく見守っていたんだと思う。
そして、やっぱり心に残ったのは、 家族のシーンにいつもさくらがいたところ。
長谷川家の最高に楽しい時間も、最大級な辛い出来事の時も、 いつも家族の一員として、さくらはそこにいる。 はじめの最期もさくらは一緒にいる。 何もしゃべらないさくらもあの時は辛かっただろうな。
大晦日の夜、 病院を探しまわるシーンではさくらが死んでしまうのではないかと ハラハラしたけど、一発やらかして元気に回復!
さくらのおかげで、また長谷川家がひとつになれた。 さくらの存在は大きい!
2時間の映画の中で、長谷川家の色々を見た。 はじめのことを家族で乗り越えて、頑張ってほしい。 長谷川家の御多幸を心より申し上げます!と本気で伝えたい。
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