独自評価 ★★★★☆(3.7)
あらすじと見どころ
1人の女子大生・環菜(芳根京子)が父親を刺殺するが、 取り調べで「動機はそちらで見つけて下さい」との言葉を発する。
この事件のドキュメンタリー本を執筆することになった心理士の由 紀(北川景子) は環菜を取材していくうちに由紀自身の閉じ込めてきた過去のトラ ウマと向き合うことになる。 そして環菜の事件の真相やその背景に辿り着いていく。
サスペンスとして特に難しくもないし、わかりやすく見やすい。 芳根京子の本来のイメージとは違う演技が新鮮。
終始暗い映画。見てスカッとするとかそういう感じはない。 途中で感情がムカムカしたりもやもやしたりした。
映画館向きという内容でもないのでDVD鑑賞で2時間サスペンス のように見ると良いと思う。
大人向け。特に女性向け。
感想
環菜は幼少期の男性に対する恐怖、
由紀は幼少期の父親への軽蔑と嫌悪感、
迦葉(中村倫也) は母親からの愛を受けられず叔母夫婦に引き取られるも消えなかっ た孤独、
それぞれの心の中に閉じ込めているトラウマを環菜の事件によって 、各々のトラウマに向き合う機会となっていく。
環菜役の芳根京子については普段の印象が良くて顔が殺人犯に見え ないし、悪い子には見えないけど、 拘置所にて発狂したり父親を刺し殺すような役は似合うのかな? と思ったけど、映画を見ていくと、環菜は繊細な子だし、 本当は父親を刺した訳ではなく事故のようなものだったし、 母親に心を支配されている気弱な従順な女の子であって、 父親殺しの凶悪犯でではない。本当は悪い子じゃないという役。
むしろ、そんな虚勢張っちゃってどうしたの? あなたは本当はいい子でしょ?なにがあったの? と言いたくなる感じが芳根京子だからうまく出てた。
私がこの映画で印象に残ったのは、由紀の旦那さんの我聞が… なんて、いい旦那さんなんだということ。
いい旦那さんというだけではない。人間としてすごく大きい。 迦葉を弟として優しく見守り、 由紀が訳ありなことを察知しつつもずっと何も言わず受け止めてい る。事実を知っても動じない。
我聞が撮る写真がまたどれも良かった。 心が動かされるような暖かい写真。
どうやって育てたらあんな優しい暖かい人間に育つのだろうか。。
映画の内容、サスペンスさよりも、 こっちに気持ちを持っていかれた。
久々に窪塚洋介を見たけど、 我聞のさりげない思いやりとか優しさとか、 とてもいい演技をしていた。
映画の内容としては、ミステリー要素は割とわかりやすく、 難しくなく、見やすい感じ。
映画を見た後に残ったものは、ミステリーな部分よりも、 幼児愛者とか性的なトラウマとか、 傷つけられた子供がどんな大人になっていくのか、 子供の心や体を傷つけた大人が悪いとしかいいようがない! という腹だたしい感情。
でも刑務所に行った環菜の表情が明るかったからそのおかげで後味 の悪さが軽減された。
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