見どころ
独自評価 ★★★★☆(4.1)
新宿のニューハーフショークラブで働くトランジェスターの主人公
始めは一果のことをうっとうしく扱う凪沙だったけど、 だんだん一果のことを愛おしく感じるようになり母性が目覚める。
バレエの才能を持つ一果を全力で応援する為にこれまでの自分の生 き方すら変えてしまう。
凪沙の一果への愛情がとても切なく、悲しく、切ない。
映画としては、 見終わった後も凪沙のことを考えてしまうような心に残る映画です 。
ストーリーが深いので、高校生〜大人向け。子供には難しそう。
感想
生まれてきて、普通に性別通りの生活性格であることが、 あたりまえではないということが、 近頃のLGBTのドラマや映画などを見ると感じされることが多い 。心と体が比例していないって苦しいことなんだなと。
早織(水川あさみ)がもし、 ちゃんと子育てできる人であったとして、 一果と普通に暮らせていたら凪沙は一果と出逢うこともなく、 最終的に死ぬことにはならなかったんじゃないか、と思う。
でも、 一果に会って一緒に暮らすようになりだんだんと母性が目覚めて、 今まで感じたことのない感情で日常が色濃いものになったのは確か なこと。
一果と出逢わずトランジェスターとしてニューハーフショークラブ でショーをしながら暮らしていた方が幸せだったのか、 一果と出逢って人生に張り合いができたけど、 結果死んでしまうのと、どちらがよかったのだろうか。
一果にとっては凪沙と出逢えてたことが、 バレエとの出会いのきっかけともなり、 人生を大きく変えることになった。バレエ教室でのお友達りん(上野鈴華) との出逢いも人生を変えたと思う。 りんが積極的にバレエの世界に引きこんでくれたから。
一果とりんのシーンでビックリしたのがあの写真を撮らせるバイト ?あんなのあるのかな、実際に。コワイ! バイト代25000円って。
りんも一果に嫉妬もしたけど、なんだかんだで一果の才能を認め、 大好きになっていた。
2人のキスシーンはよく分からなかったけど、 りんはジェンダーレスということではなく、単純に、 暗かった一果が明るくなって綺麗になってバレエもめきめき上達し て、 人間としてうらまやしくてっ眩しくてって気持ちだろうと思う。
りんもまた、 愛情の吐き違えの母親の存在とバレエが出来なくなったしまったこ とが影響して悲しい結末に。 屋上での結婚式で踊り出した時はイヤ〜な予感がしたけど、的中。 踊りながらそのまま…のシーンは驚愕した。
バレエを続けさせたい一心で一果のために自分の意思を曲げてでも 、男性の格好して就職したり、 母になりたくて性転換を海外でやって体も女性になったけど報われ なかった凪沙の想いや気持ちを考えると、心か締め付けられる。
そんな2人の束の間の幸せのシーン…外で2人で踊ってみたり、 バレエの先生に「お母さん」 と呼ばれた時の凪沙の幸せそうな顔や、ハニージンジャーソテー? を作って一果と食べるシーンなど、見ていてとてもほっこりした。 でも最後の結末を思うとかわいそうでたまらない。
凪沙は一果と出逢って良かったのか、 結末を考えると出逢わなければ良かったのか。
何がその人の幸せなのか、 なんとも言えないし分からないことだと思った。
私が1番印象に残ったシーンは中学を卒業した一果が東京に凪沙に 会いに行ったときの凪沙の生活の変わりよう。 布団に横たわり弱り切ってて、下半身から出血している姿… あの映像が頭に残ってて、観賞後もしばらく悲しい気持ちだった。 凪沙は本当の母親になりたいという気持ちを持っただけなのに、 こんなにも命をけずることになるとは…ただただ悲しい。
トランジェスター役の草彅くんの切ない表情や歩き方、話し方、 素敵なマダムだった。
一果役の女の子、オーディションて選ばれた新人さんとのこと。 彼女は演じることに力が入ってなくて、 もう一果そのものの存在感があった。
バレエも上手でメイクするとものすごく映えた。 あの役はあの子じゃないと実現しなかったんじゃないかと思うくら いピッタリハマっていた。
苦しく辛い気持ちにもなるけど、 とても心に残る感慨深い映画だった。
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