独自評価 ★★★★☆(4.1)
あらすじと見どころ
1945年、夏の日本。 物理学者で原子核爆弾の研究開発をしている兄の修(柳楽優弥)、 戦地から一時帰郷している弟の裕之(三浦春馬)、幼馴染の世津( 有村架純)
戦争という現実の中、死ぬこと、生き残ることへの恐怖、 原子核爆弾をつくることの意義、 戦争なんて終わればいいと思う本心を胸に秘め生きていく。 それぞれの想いや葛藤を抱きながらも未来への希望を持ち戦時を全 力で生きた若者たちの物語。
大人も子供も誰もが見られる映画。家族で見るといいと思う。
感想
この映画は事実を基に描かれた作品なのだそう。 日本は原爆を作ろうとしていたことは事実。 もし日本が先に原爆を完成させていたら、 今世の中はどうなっているのだろうか。。。
戦時下の日本人は、お国のためにお国のためにと、 ある種洗脳されているような状況で、 でも心のどこかでみんなこれおかしいよなって思ってるけど、 口にしてはならない空気感…集団心理みたいな。
修たち科学者も、 原爆をつくることに全力で時間を費やしていたけど、 これが完成されたらどうなるのか、、という怖さもある。 でも作らないといけない。自分たちがつくらなくてもアメリカ、 ソ連、どこかが作る。 ならば自分たちがいち早く作って戦争に勝利した方がいい。 これが正しいことだとは思えなくても正しいと思わないといけない 。必死に実験するしかない。
裕之も戦地に戻るのはこわい。 でも仲間が次々に戦争で戦って亡くなっていってるのに自分だけ死 なないなんてできない。
戦争に勝つため戦い続けるか、戦争で国の為に死ぬか、 それしかダメみたいな。
この頃の日本は責任感とか使命感がものすごいし、 まわりがみんなそうだからそうせざるを得ないということばかり。
今は多様性の時代だし、思想も自由。
でも、こんな時代が確かにあった。そして間違えた。 この事実はやっぱりこれから先もずっと覚えていないといけない、 忘れてはいけないことだと思う。
キャスト陣も本当に良い。作品の内容が重いものだけに、 役者の懸ける想いみたいなのが伝わった。 特に裕之が入水していくのを修と世津が引き留めるシーンがこころ に残る。世津の戦争なんて早く終わればいい! 勝っても負けても構わん!と言った台詞は共感しかない。 3人ともこんなに心の底で苦しんでいる…物言えないこの状況、 嫌だと言えない、 これが正しいお国のためにと小さな子供から年寄りまで思わないと いけない…なんなん!戦争!!とムカついた。
ドラマでもこの太陽の子は同じキャストで放送されて、 内容もほぼ同じではあるけど、 映画の方がより科学者たちの苦悩にスポットがあたっている。
ドラマと映画の決定的違いは、音楽、映像、 作りがオシャレになっている!芸術的な映画になっていた。 海外で上映されるということで、映像クオリティが高かった。 それを思ったら柳楽優弥、三浦春馬、この人選は間違いない。 2人とも細かい演技が抜群に上手いと思う。
有村架純も日本人女性おっとりしてそうで芯が強いみたいなところ がハマっている。
キャスティングした人、いい仕事したなーと思う。 この映画はこの3人で本当に良かった。
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