独自評価 ★★★★☆(4.2)
あらすじと見どころ
同じ年齢同じ名前の3人のゆうくんと、 それぞれのゆうくんの母親の物語。
息子を殺したのは、私ですか?
普通のお母さんが子供を殺してしまう。誰が? それは私かもしれない… ということをリアルなストーリーと3人の母親役の菅野美穂、 尾野真千子、高畑充希が三者三様に見事に演じきっている。 さすがといった感じ。
とっても心に刺さる映画。
子供大人、誰が見てもいい映画ではあるけど、 お母さんたちに特におすすめ。
感想
3人のゆうくんと3人のお母さん。 どこにでもいそうでどこにでもありそうな話しだと思った。
ただ、一線を越えるのは明日の私かもしれない、 隣の誰かかもしれない。全く人事ではない、 心にぐさぐさざくざく突き刺さる映画だった。
一番怖いのは石橋あすみ(尾野真千子)のゆうくん。 あの性格を作ってしまったのは環境なんだろうけど、 決してあすみがネグレクトな訳ではないし、 むしろ家事も育児もしっかりやっていたと思う。 でも義母と旦那さんと妻、この3人は本心がわからない感じで、 そんなところをゆうくんは敏感に感じていたのだろうか…
子供という1人の人間の人格を形成する過程ておいて、 ただ育児をしっかりやっていればいいわけではないんだということ 。
あんな風に子供がなってしまったら、どうしたらいいんだろうか…
このゆうくんの芝居もうますぎですごくてゾッとした。
石橋留美子(菅野美穂)のゆうくんは、 この3人の中では一番多くいそうな、 お兄ちゃんだからという親の決めつけからくる屈折。 お母さんとお父さんのことが大好きなのはすごく伝わる。
夫婦の関係性に子供が振り回されている。 夫婦仲も子育てには影響が大きい。
父親が部屋で大暴れしたシーンがリアルな感じがして見ていて心が 痛んだ。
石橋加奈(高畑充希)のゆうくんは、 子供なのにものわかりが良すぎて切なかった。 この親子はもっと人や行政に頼ってほしいな。頑張りすぎている。
ダメな弟が通帳持っていったせいで、 お母さんとゆうくんが衝突してしまったけど、 ものわかりのよすぎるいい子なゆうくんにとって、 あの感情をお母さんにぶつけられたこと、 そしてお母さんもゆうくんの気持ちとぶつかることができたのは、 これからの2人にとっていい事だったと思う。 あそこでお母さんが一線超えなくて本当に良かった。 この親子は幸せになってほしい。
そしてこの3人のお母さん、それぞれがとてもいい演技だった。 どのお母さんにも感情移入できた。 映画のつくりとしても3つの親子の話が変わる変わる進んでいくの だけど、どの親子にも引き込まれているから、 場面が変わる変わるでも全く嫌じゃなかった。
3人の母親の感情が突き抜けてしまうところでは、誰? 誰が一線超えちゃったの?やめて、みんなやめてよ、 と心がピリピリした。
結果はホッとしたけど、第4のお母さんが…一線超えてしまった。
いつ、誰がどのタイミングでどうなるのかは紙一重。 一線を越えるのは明日の私かもしれない、隣の誰かかもしれない。 全くひとごとではない、心にぐさっと突き刺さる映画だった。
子供もの心には何がどう影響するのかわからない。 よくよく自分の行動や言動を見詰めなおさなくては。
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