うらやましいほどの立派な家に住む建築家の父(堤真一)
高校生の規士が顔にアザを作って帰ってきたり夜遊びをするように なり、ある日出かけると言ったまま帰らなくなる。
その翌日、高校生の遺体が発見されたというニュースが流れる。 そして被害者が息子の友人と分かる。 その事件に関与していると思われる3人が行方不明。 規士もその中の1人。
ネットではもう1人殺されていると噂になっている。 そのもう1人とはもしかして規士なのか、それとも、 事件を起こしているのが規士なのか。 何もわからないまま状況の中、マスコミから規士が犯人扱いされ、 家族の生活が一変する。
息子は犯人なのか、それとも、被害者なのか。
ベストセラー小説の映画化とのことで公開を楽しみにしていた作品 。
小説は未読だったので、被害者か、加害者か、どっちなの?! と分からないから感情移入して見れて面白い。けど辛い。
親の気持ちも子供の気持ちも描かれているから、 家族で見てもいい映画だと思う。
感想
息子は加害者なのか被害者なのか、というサブタイトルから、 もうどちらであっても辛い結末なんだろうと思うと、 冒頭に子供の頃( 幼少期の写真も岡田健史本人の物が使われていたと思う) からだんだん成長をした姿の記念写真が出できた時点でもう泣けて きてしまった。こんなかわいい子が…どうなるの?どっちなの? と。
父親も母親も、別に子育てに問題があったようには思えなかった。 妹も素直でいい子に育っているし、 お家も立派でお母さんも家のことしっかりやっているし。
思春期という事もあるし、 ケガでサッカーを辞めてしまったことで、 息子も本心をあまり話さなくなってしまっているようには思えたけ ど、家族関係が悪かったようには見えない。
ただ、顔にアザを作って帰ってきたときは、 もっとしっかり話をするべきだったと思った。 小刀を隠し持っているということがわかった時も。そうすれば、 もしかしたら何か変えられたかもしれない。
父親は規士は人を殺すような子ではない、 加害者ではないと望んだし、 母親はたとえ規士が加害者であったとしてもとにかく生きていて欲 しいと望んだ。究極の選択ではあるけど、 どちらの気持ちもよく分かる。
後に、規士が小刀を持って出たと知った時、 父親はもしかしたら息子は加害者なのかもしれないという気持ちに なり、 反対に母親は規士の学校の友人たちから規士くんはそんな子じゃな いって信じていると伝えられた時、 規士はもしかしたら被害者かもしれないという気持ちになる。
加害者であればそれはイコール、人を殺したということ。 被害者であればそれはイコール生きていないということ。
どっちにしても地獄。どっちであっても親は、もっとああしていれば良かった、こうしていれば良かった、 と自分を責めることしかできない。
加害者か被害者か分からないけど、どうかどうか生きてて欲しい! と願いながら私も見ていたのだけど、、、 規士は変わり果てた姿に… 対面のシーンではもう悲しくて悲しくて、私もいっぱい泣いた。
規士は被害者で友人の倉橋の助けになろうと勇敢に立ち向かって行 ったのだった。小刀は持って行かず、家に置いたままだった。 正々堂々と揉め事を解決しに行こうとしていた。
亡くなった後に分かるのだけど、 規士はリハビリを学ぼうとしていた。「未来は変えられる。 けど何もしなかったら何もできない大人になる。」 という父の言葉がしっかり心に響いていて前向きに進もうとしてい た。
本当にいい息子だった。辛い、悲しい、胸が痛い。。
刑事(加藤雅也)が言った言葉が印象に残った。
「心の優しい子ほど、親に心配かけまいとする。 その想いを知った時胸が痛みます。」
規士のことを想うと私もとっても胸が痛む。
私は女だし母親だから、 石田ゆり子の目線からこの映画を見ていた。 警察に逮捕されたら規士の好きなものを差し入れしたいと一心不乱 に買い出しに行く姿は痛いほど気持ちが伝わった。
父親の堤真一が、 葬儀場で息子は何もやってないと訴えるシーンは、 父親の精一杯の想いがとても伝わった。
幸せな家族がこの事件で一変しマスコミに追いかけられたりネット で特定されたり、リアルなドキュメンタリーのよう。
規士役の岡田健史も、行方不明になる前の影のある表情から、 リハビリを学びたいという希望に満ちたキラキラした目の好青年の 表情までしっかり使い分けている。
雅役の清原果耶も妹としての家族の立ち位置を自然体に忠実に演じ ていた。
この家族の配役が良かった。
子供たち、親に心配かけてもいいから、 一人で悩まず抱え込まないで欲しい! と切に切に願わずにはいられない映画でした。
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