独自評価 ★★★★☆(4.3)
あらすじと見どころ
人生の大半を刑務所で過ごした三上(役所広司)は、出所し、 社会復帰しようと生活していく中で何度も困難に直面してしまう。
しかし、社会復帰へと導いてくれる身元引受人(橋爪功) やケースワーカー(北村有起哉)やスーパーの店長(六角精児)、 三上の密着番組を作ろうと近づいてきたテレビマン津乃田( 仲野大賀) らと関わっていくうちに三上もあきらめず頑張ろうと努力していく のだが。。。
すごく良い映画。これは社会問題。色々考えさせられる。 そして見た後はいつまでも心に残る。
三上は役所広司しか考えられないというくらいハマり役。
子供向けではないけど、大人の人には強くおすすめしたい。 物事を多方向から考えるきっかけになる。 この映画はもうドキュメンタリーだと思う。
感想
犯罪者しかも殺人犯。 この殺人犯が刑を満了して社会にでてきたら、 どう社会は受け止めるべきなのか。
三上がやり直そうとしている様子は作品を見ていたらよく分かるし 、応援してやりたいと思うけど、、 根っこの部分が直ってないっていか、危なっかしい、 トリッキーなところがある。たびたびキレるし…
人が絡まれていたり、非常識な行動などを見て、 それを自分が解決しようという正義感みたいなものは素晴らしいと 思うけど、 やり直そうとするならまずそれを自分が解決するのではなく、 警察に助けを求めたりしないと、また巻き込まれてしまって、 手を出せば負けないし、やりすぎてしまうし、 うまくいくわけがない。ほんとに不器用な人。
ただ、人間としてはイイ人。
だからこそちゃんと社会人としてやり直して欲しいと思った。
社会のレールから一度外れた人は生き辛いという、 普通の人だとわかり得ないことがこの映画を見たらよく分かった。
部屋がきれいに片づいてるところや、ミシンが上手いところとか、 自動車教習所での歩き方や走り方なんか随所にベテランの元囚人の 名残が現れていて、 それを三上演じる役所広司が見事に表現していた。 役所広司だからこそ、悪の部分と善の部分、 両方の顔の演じ分けが完璧で、 見る側も同情の気持ちになったり呆れてしまう気持ちになったりと 、どっぷり感情移入ができた。
最後に三上が亡くなったときは、津乃田と同じ気持ちだった。 これからだったのに…と悲しかった。
いやしかし、被害者や被害者遺族からしたらどうだろうか。 社会復帰とか、人生やり直しとか、ふざけるなって思うと思う! そりゃそうだ、当然そう!
ここが、、難しいところ。 基本的に被害者側の感情に激しく同意する。
でも、この映画を見たら、出所して生活がうまくいかなくて、 また悪行を働いて刑務所に逆戻りとなったら、 治安はいつまでたっても良くならない。
難しい…考えて考えても答えは出ない。
見たらしばらくはこのことについて考えてしまう。
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