映画「罪の声」の見どころ【ネタバレなし】と感想【ネタバレあり】

映画レビュー
映画「罪の声」公式サイト

見どころ

独自評価 ★★★★☆(4.2)

父からテーラーのお店を受け継ぎ暮らす俊也(星野源)は、妻の亜美(市川実日子)と娘と3人で慎ましやかに幸せに暮らしていたある日、父の遺品からカセットテープを見つける。カセットテープを聞いてみると幼い頃の自分の声が入っていて、それが35年前の未解決事件「ギン萬事件」の犯行に使われた子供の声のテープだと気がつく。
自分が何故この声を、誰に録音されたのか、事件を調べ真実を知ろうと謎を追っていく。
その頃、同じく「ギン萬事件」の特集記事を任された新聞記者の阿久津(小栗旬)も犯行テープに使われた子供たちについて気になり子供たちの足取りを追っていく。
実際にあった未解決事件をテーマとしている。
内容としては、シリアスで悲しい真実があり、辛いけど一歩一歩真実へたどり着いていけて、映画としてとても見応えがある。
学生運動、抗争とか昭和の背景があるので、小さい子供には難しいと思う。
大人向けな内容。
声を犯罪に使われた3人の子供たちの行く末をじっくりとしっかり集中して見届けてほしい。

感想

35年前のグリコ・森永事件を題材とした映画。当時のニュースをよく知らない人は全くのフィクションとして見ることもできるし、リアルタイムで過ごした世代には、実際には未解決のままだけど、もしかしたら背景にはこんな事があったかもしれない本当の話の様に思えてきて、フィクションとノンフィクションの間みたいな物語。
今まで普通の幸せな生活を送れていたのに、ある日自分の声が犯行に使われたと知れば、知らない方が良さそうな感じはするけど、やっぱり真相を突き止めたくなるでしょうね。
俊也と同じく声を犯行に使われた生島の子供たちは俊也とは違い事件の日からずっと過酷な人生…お母さんも。
特に姉の望ちゃんが…
年頃だったし将来の夢もあってキラキラした少女だったから、あの結末がもう…ほんとに辛かった。それを目の前で見た弟の聡一郎はそれからも最悪な環境でずっと苦しい毎日。
聡一郎に、これまで曽根さんはどんな人生やったんですか?と聞かれたときの俊也の表情は気持ちがすごく伝わった。
自分は妻と子供と慎ましやかな幸せな日々を送れていたけど、もしかしたら自分もこうなっていたかもしれないと思うと恐ろしいし、自分が幸せに暮らしていることも申し訳ないような気分になるし!複雑な心境だと思う。
阿久津も俊也も、真実をほじくり返す意味を考えながら、一つ一つ真実にたどり着いたけど、生島家の母親と姉弟が人生狂わされたという事実がただただ辛い展開だった。
でも俊也の電話に聡一郎が出てくれて間に合ってほんと良かった。もう逃げなくていいんですよって言葉は、聡一郎がずっと聞きたかった言葉だっただろう。
生き別れた母とも再会できたし、せめてこれから当たり前の日常を過ごして行って欲しい。
聡一郎と母親が再会した時に、望ちゃんに会いたいねって泣きながら唯一残る犯行テープの望ちゃんの声を聞くシーンが泣けた。このテープで人生が狂ったのに、望を感じることができるものがこのテープなんだと言うことが辛すぎる。生島家のお母さん、姉、弟の当たり前の生活をぶち壊しにした犯人たちに激しく怒りを感じる。
最後、まさか、俊也の声を録音したのが母親だったとは!想像もしなかった。てっきり伯父の達雄だと思っていた。最後に予想外の真実だった。
展開としては、事件関係者の登場人物が多くて頭の中で整理していくのが忙しいけど、丁寧に作られているので、俊也と阿久津と一緒に自分も事件を紐解いていくような感覚で見られた。
事件の真相を追いながら、次々と真実に近づいていく中、俊也と阿久津の2人のシーンが良かった。特に、俊也の奥さんについての「厳しいですねー」「優しいんですよ」のシーンがほっこりしていて好きだった。
小栗旬と星野源の信頼関係みたいなものが演技からも感じられ、俊也と阿久津の関係も取材対象者と記者というだけだはない友情の様な深いものを感じた。
「割烹しの」の板長さん(橋本じゅん)がけっこう情報をぽろりしてしまうところが面白くて、この映画のちょっと笑える場面になっていていい味出してた。
聡一郎を演じていた宇野祥平さんの演技がすごかった。これまでの苦悩の日々を背負った顔つき、目つきが本物という感じ。
最後に俊也にスーツを作ってもらってそれを着て記者会見をする時の顔は、これまでの苦悩の表情から決意の表情へと変わっていてた。表現力がすごかった。
これはこの「罪の声」という映画の話ではあるけれど、実際に子供の声は使われていたし、その子供たちは今頃どうしているだろうか、この映画みたいな人生だったら…と考えると胸が苦しくなる。
日頃私たちが目にする事件やニュースの表面ではなくその裏を見たような感じ。
一つ一つの事件に、その関わった人やその家族の苦悩、真実、一方向からだと見えない部分がそこにはあるんだと感じた。
そして、阿久津の様な、弱い物に寄り添うことが記者の役割だという志を持った記者がこの世にたくさんいて欲しいと思う。

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